脳のエネルギー節約につながる問題解決のしかた

 

世界一やさしい問題解決の授業という本を読んだ。就活のためといっては浅はかな回答になってしまうが、結局「問題解決」という言葉に興味を抱いたからである。(いや、そのバズワード自体に惹かれたのかもしれない)持論ではあるが僕は問題解決は学問を通じて取得するという考え方が(時間はかかるが)正統派だと思っているタイプなのでこういう本を読むのは初めてである。

著者について

著者渡辺健介さんはイエール大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。その後、ハーバードビジネススクールでMBAを取得するなど輝かしい経歴の持ち主である。

どんな人向けか

そんな彼が「中学高校生を対象読者に問題解決について本を通じて教えよう」と書いたのが本書である。「問題解決という言葉が一人歩きしている気がする」「一体何が問題なのかわからない」といった問題解決という概念に対して漠然としたイメージしか浮かばない方には最適かもしれない。

問題解決とは何か

そもそも問題解決とはなんなんだろうか。どこからどこまでを問題解決というのか。「問題を解決するための道筋を作ること」や「問題解決から逆算して不確定要素を割り出し計画を実行する」みたいなことを頭の中でぼんやり浮かばせていた。本書では問題解決を

「現状を正確に理解し、問題の原因を見極め、効果的な手間で考えめき、実行すること」

 と定義していた。

現状を正確に理解する

問題を共通の特徴ベースに要素分けして原因の原因まで突き詰めていくというやり方。「その問題は何がおかしくて何が原因だと思っていて何をすれば原因を分析できるか」を本書では手順に沿って丁寧に説明している。

  1. 原因としてあり得るものを洗い出す
  2. 原因の仮説を立てる
  3. どんな分析をするか考え、情報を集める
  4. 分析する

問題の原因を見極め

ここも大切なプロセスの一つ。問題の原因を見極め対策案を決める。やるべきことをいつ、どこで、何を、どれくらいやらないといけないのかが即座に把握できていることが大切。つまり実行手前まで持っていくのがここでの一番の目的だ。

  1. 打ち手のアイデアを幅広く洗い出す
  2. 最適な打ち手を決める
  3. 実行プランの作成

仮説を立てる

  1. 選択肢を幅広く洗い出す
  2. 選択肢を絞り込んで仮説を立てる
  3. 仮説に沿って情報を集める
  4. データ分析

あとは実行あるのみ 

そして何よりも一番大切なことは実行すること。これなくしてはそれまでの計画が全て台無しになってしまう。

まとめ

問題解決に関するプロセスはできるだけ脳が自動的に行えるような確立したメソッドがあるとエネルギー節約につながるのではないか。わざわざ一から何かを生み出すというよりはすでにある具材を使って効率よくある程度客観性のある具体案を出すというイメージ。本書ではそういった大切な要素を具体例を添えながら丁寧に説明している。

総じて問題解決において意識、無意識に行うプロセスを頭の中で思い浮かべながら読むことができた。本自体が比較的薄いのであっさり読み終わってしまう。しかしどんな年齢層にいる読者でもあっさりと問題解決の仕組みを学べてしまうのは素晴らしい。さらに中身をちゃんと理解して使えるようになれればあらゆる場面で活躍されることが期待されるだろう。この本はそんな可能性を思わせてくれるように感じた。